[コメント] ザ・タウン(2010/米)
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ベン・アフレックはこれが監督作としては2作目。まだまだ荒削りな映画だとは思います。特に人物が描写がまだまだ浅いし、もっともっとエモーショナルに掘り下げられる部分も多々あったはず。だが、1本の映画にまとめあげたときの雰囲気は上々のものになっていたし、全体的に見て硬派で味わいのあるテイストを持ったアクション映画に仕上がっていて、かなり好印象を得ました。
『ザ・タウン』というタイトルが表すとおり、逃れることが出来ない悪事の象徴がチャールズタウンという“街”になっていて、ベン・アフレック演じる主人公の父親の代から続く負の連鎖のようなものが、もわもわっと映像を通して伝わってくる感覚がありました。だから、描写が荒削りとは言いつつも引き込まれてしまった。そこから決別することがこの映画の主題なのだと考えると、さすがにクリーンすぎるラストシーンには少し首を捻りたくもなったが、しっかり納得もできた(展開的には、やはりこの“街”で散るのかなと予想していたのだが)。
チャールズタウンはボストン郊外の街ということで、ベン・アフレックにとっては地元で撮った作品になる。場所の特徴を作り手側がすごく理解しているのだろう。そのことが映画のプラス要素としてうまく機能していたように思う。狭い路地を縫っていく迫力あるカーチェイスは見応えあったし、まさかフェンウェイ・パークから大金を強奪しようという計画が出てくるなんて! しかも、しっかりフェンウェイで撮影しているみたいで…。
他にも、この映画は結構屋外のシーンが多いように感じたのだが、常に街の雰囲気をしっかり出そうという気配りがあったように思う。そういう意味で、街を理解した上で統一された雰囲気を演出できているのが非常に大きい。ベン・アフレックには今後もボストンを舞台にして映画を撮ってほしいなと感じました。経験を積めば、さらにレベルの高い作品が出てくることを予感させます。
また、ベン・アフレックは演技面でも健闘していましたね。もちろん、自分が監督だし、自分をかっこ良く撮っていることは承知なのだが、それでも彼をかっこ良いと感じさせられました。だが、さらに演技で存在感を示したのがベン・アフレックの悪友を演じたジェレミー・レナー。首に入ったタトゥーの存在が気になって仕方がない、デートに遭遇してしまったシーン。あのシーンは、映画内で一番の緊迫感を秘めた秀逸なシーンでした!
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