[コメント] ロビン・フッド(2010/米=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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見終わった直後は「3点かな」と思ったのだけれど、どうも思い返してみるとどこかでみたようなストーリーとどこかでみたようなシーンの連続で、わざわざ劇場でみるほどの映画ではなかったな、という思いが強くしてきた。
序盤の導入の仕方はさすがにベテラン監督らしく非常にスムーズで、これからどのような物語が展開するか十分に期待させるものだったが、結局最後まで物語が収束することなく、散漫なまま終わってしまった。
開幕のナレーションでやたら「アウトロー」が強調されるわりには本作でのロビンは勇敢な愛国者としての側面が大半で、民衆の自由と権利への希求に目覚めるくだりも、ただ単に「親父がそういうひとだったから」というだけで、本人の内面のドラマが完全に不足している。
また、序盤でその後の展開を期待させた傭兵仲間たちとの掛け合いや友情のつながりもほとんど描かれず、彼らはただ盲目的にロビンに従う人間になってしまった。森に潜む少年たちも思わせぶりに登場したわりに、結局ロビンとの交流は描かれないし、彼らのドラマもほとんどない。唐突にロビンが彼らのリーダーになってしまったエピローグの展開には戸惑うばかりだ。
あと、『キングダム・オブ・ヘブン』の時も思ったのだが、リドリー・スコット監督はロマンスの描き方がすごく下手だ。今回もロビンとマリアンのくだりがどうも説明不足でちっとも感情移入できない。余計なつけたしのように感じられてしまうのだ。
「自由と民主主義ばんざい!」みたいな陳腐なメッセージにも興ざめ。「マグナカルタ」が現在の民主主義に通じる道の一歩であったことは否定できないが、それは主に王の下の領主たちの利益のためのもので、現代的な民主主義礼賛につなげるのは安易過ぎると思う。
戦闘シーンにも特筆すべき魅力はなく、とにかくあらゆる意味で凡庸。あえて言えば、監督の「老い」が如実にでた作品だったと思う。
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