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[コメント] ペルシャ猫を誰も知らない(2009/イラン)

この映画は、これまで見たことのない、知らなかったイランを見せてくれた。
味噌漬の味

PVが続くとややこちらの気分が停滞するものの、そこで映し出されるテヘラン市内の映像はきっと今のテヘランそのものなんじゃないだろうか。それを見ることができただけでも良かった。 ストロークスやシガーロスなどの主人公たちが愛する“インディーロック”なキーワードは、私自身の学生時代を思い出させてくれた。練習したら逮捕されるなどという状況は考えられなかった、という点以外は、全く日本のバンド好き学生と同じだと思った。 ただ、この映画で流れる音楽も、日本のバンド好き学生の演奏する音楽と変わらなかった。つまり、面白くなかった。イラン映画なんだし、イランの音楽が聴きたかった。だから同じイラン映画なら、キアロスタミマフマルバフが田舎を舞台に撮ったもののほうが、映像にも音楽にも感動した。 ということを思ってしまった自分に対して、どうしたら良いのかわからなくなった。この映画の中の若者たちは、欧米の音楽が大好きで、それを自由にやりたいともがいていた。でも、日本人である私は、映画の主人公たちのことは応援しつつも、その外で、そういう音楽はもう嫌というほど聴いているからイランの音楽が聴きたいな、と思ってしまった。きっと、他の国の人も日本に対して同じように思っているんじゃないだろうか。 結局自分も映画を通して無責任に「異国風情」に触れたがっているんだな、と思い知らされたとともに、この映画はそういうところも問題提起してくれたように思った。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)太陽と戦慄 ぽんしゅう[*]

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