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[コメント] 母なる証明(2009/韓国)

悪い記憶や心のしこりを消してくれるツボが、太ももにある、というクダリがあり、それをラスト近くに画面で見せるのはいい。太ももが選ばれたのはこの画面を見せられるからだろう。
ゑぎ

 とても綺麗にまとまっている映画だが、矢張り大してインパクトがあると思えない。内容勝負の作品だからか。草原、丘の上でダンスを始める母親。このクレジットバック、音楽もいいし、ダンスも筋に絡むことのないものだが悪くない。終盤でもこの草原を歩くシーンが出て来くるし、ラストもダンスシーンなので落ち着きもいいのだ。

 さて、本作はミステリー映画でもあるのだが、その出来栄えは、私の感覚では感心しないものだ。夜、酔っぱらったトジュン−ウォンビンが女子高生アジョンの後を歩く。このシーン、全部を見せないのは、ずるい気がするのだ。トジュンが記憶している範囲だけ見せた、とも受け取れるが、であれば、回想として提示すべきじゃないか。このように客観描写で事件を見せるのなら、本来、倒叙ミステリー形式にすべきだと思う。勿論、本作を倒叙形式にすると、映画として成り立たなくなるぐらい、面白さが半減するだろうが。逆に云うと、編集だけで、面白くなっている映画じゃないのか。

 画面のモチーフでは、水、液体へのこだわりが印象に残る。指を切った血。鼻血、ゴルフ場の池。酒。雨。ジンテの部屋のミネラルウォーター。栄養ドリンク。血しぶき。

 被害者アジョンの男友達を脅して問い詰める場面で、同じカット内で回想を見せる処理は面白かった。男子の膝に頭を乗せて横臥したアジョンが、携帯を見ながら男子と会話する、という演出。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)緑雨[*]

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