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[コメント] 失われた週末(1945/米)

「俺には何も残ってない」「才能と野心が残ってるじゃない!」
capricorn1

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







…不覚にも、このセリフに泣いてしまった。

 この映画を初めて見たのは、TBS深夜の吹替えノーカット放送だった。下戸の私は「アル中って、大変だなあ」くらいの感想しか持たなかった(現実はもっと悲惨ということを後に知るのだが…)。

 あれから20年。相変わらず下戸ながら、多種多様の依存症に苦しむ私に、この映画は圧倒的に迫ってきた。

 ラスト7〜8分。おいおい、どうやって解決するんだよん、とハラハラしながら見ていると、彼女が言う。

「え?残る一人も殺したいの?」

「誰だ?もう一人って?」

「作家のドンよ」

「現実には僕は一人だ。それに、僕に何が残ってるって言うんだ?」

「才能と野心が残ってるじゃない!」

あ。そうだ!どんな人間も、「才能」と「野心」が備わっているじゃないか!

もちろん、俺にも!俺も持ってるんだ!忘れちゃいねえぞ。才能と野心。

そのことを思い出すか、どうかなのだ…。

 ビリー・ワイルダー、うまいなあ。若いときは少しも楽しめなかったけどなあ。 ドンがタバコを反対にくわえる。そこを彼女がすぐ直してあげる。そのシーンがラストで効いてくる。映画だよなあ。

(ただ、ヒョウ柄の彼女のコートはどうかね。気品も何もないと思うのだが…)

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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