[コメント] チェイサー(2008/韓国)
物語的に見ても、警察の無能さというモチーフが猿回しの猿の域を出ていないように、監督の演出はやたら冗長で、描きたいことの本質が捉えきれていない感が残る。が、それでもこの映画は面白い。
例えばヨンミンの兄夫婦の子どものエピソードひとつとっても、ヨンミンの異常性を示す味付けのひとつとして確かに強烈な印象は残すものの、それが本当に必要なものだったのかと考えると疑問が残るし、観客としての我々は、映し出される画を通して人が本質的に感じる痛みや血等に対する嫌悪感をも同時に受け入れねばならず、鑑賞後の気分はお世辞にも心地よいものとは言えない。が、それでもこの映画が面白いのは、走る、殴る、蹴る、叩きつけるといった、人が持ち得る格闘能力を映画的な運動として画に落とし込んだところだという一点に尽きる。そういった一点勝負の監督には、自然と次作を期待してしまうというものである。キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ、ともに好演。子役も大変印象に残った。
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