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[コメント] 三国志(2008/香港=韓国)

「善玉」「悪玉」的なキャラ配置が存在せず、名あり登場人物が敵味方関係なくほぼ全員が格好良い。『レッド・クリフ』には皆無だった「男のロマン」に充ち満ちた良作
佐保家

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







三国志翻案映画では個人的にはダントツの出来。って言うか、TV作品はともかく映画でまともな三国志ってこれまで有りましたっけ? 二十年くらい前にやってた中国製の『三国志』は基本的な流れ自体は沿ってたけどあまりのぶつ切りっぷりで訳がわからなかったし、ほぼ同時期に公開された『レッド・クリフ』に至っては舞台を赤壁に絞った割には冗長で最低限依って立つべきキャラクターの魅力にすら乏しく全体的に空回りな作品で期待はずれも良いところでした。

そんな流れで特に期待もせずサモハンが出てるし見ておかないとなぁ、的な気持ちで軽くDVDを借りたんですが、これが想像以上の拾い物。

確かに、三国志物としては年代設定、人物設定、イベント内容など諸々の点で突っ込みどころが満載です。サモハンアンタ一体何歳まで生きてるんだよとか、列挙していくのが面倒になるくらい。ですが、この作品はまず「負け戦映画」としての軸がハッキリしているのでこれらの改変がが全てこの一点に向けて収斂して行きます。凡百の作品ではこの手の改変が特に生かされる事なくいつの間にか雲散霧消してしまうのとは大違い。

ただ、この「負け戦」分が「三国志」要素を上回っちゃってるので、そのあたりに違和感を感じるのは確か。三国志で、趙雲主役でやる必要があったのかなぁ、と(五虎将軍勢揃いシーンは燃えましたけどね。馬超と黄忠の獲物も「シャキーン」とエフェクトかけてやれよ、とも思いましたが)。取っ付き易さを得るタメの「主役=趙雲」だったのかもしれませんが、多少元ネタを齧った身としては夏侯淵とか張郃とかならこの二要素を両立させやすかったんじゃね?とも思ったりもするわけです。誰が見に行くんだよ。俺だよ。

「ラストのモノローグ場面は例の場所に趙雲の鎧が飾られてるシーンをバックにすべきだろ」などの文句が出ないこともないですが、直前に見た『レッドクリフ Part II』で荒みきった俺の心を癒してくれたって点も含めて5点。いや、普通に見ても充分楽しめる映画だとおもいますよ。むしろ三国志に思い入れが無いほうが良いかもしれません。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ガリガリ博士[*]

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