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[コメント] スパイナルタップ(1984/米)

古き良きロックの時代。こう言う情報をいち早く仕入れて人に話すのが楽しかったことを思い出す。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 映画には昔からフェイク・ドキュメンタリーという作品ジャンルが存在する。いかにも本当のドキュメンタリーのように見せながら、実は嘘であったとするもので、本当に嘘をついてはいけないために、コメディ仕立てにするのが一般的だった。

 本作もその意味ではパロディ的なコメディ作品となるはずだが、演奏される音楽の出来が良いことと(歌詞は敢えてセクハラギリギリの酷いもんだが)、インタビューで実在バンドに対して文句を言わせてるとか、当時の音楽会に対するかなり正確な視座が与えられるところ受けたのだろう。実は音楽人の評価が結構高いらしい。

 1980年代は音楽界が最も活発化していた時代といえる。ロックから様々なジャンルが枝分かれし、それぞれのジャンルが伸びていった。最も伸びたのはポップスだが、ハード・ロック、メタル、ノイズなど、過激なジャンルの音楽もどんどん伸びていった。

 丁度音楽のプロモーションビデオも出来た頃なので、顔も売れるようになり、どこに行っても顔が知られ、人だかりが出来ていたり、マネージャーはスケジュール調整だけでなく、どうメンバーを露出させるかにも腐心したり。

 そしていわゆる「音楽性の違い」によりメンバーが仲違いするのもリアル。ちなみに「音楽性の違い」の発端が痴話喧嘩ってのがとてつもなくリアル。さらに“Famous in Japan”という言葉もあるくらいで、最後に日本でだけヒットするというのも、ロック業界ではよくあること。

 そんな意味で、作品自体も結構面白いのだが、それをドキュメンタリー・タッチにすることで当時の“空気”までちゃんと演出しているのが素晴らしい。

 いろんな意味で、本作は80年代のロック界を知るには格好の素材とは言える。  その中にどっぷり浸かっていた世代としては、どこか苦笑いしつつ、若き日の自分自身に思いを馳せる事が出来る。

 だから本作は年代を超えて愛される作品と言えよう。80年代という“空気”をちゃんと今に伝えてくれる作品なのだから。

(評価:★4)

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