[コメント] 君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956(2006/ハンガリー)
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水球効果は+10点。内訳は、そもそも水球を取り上げてくれたことにまず5点。鮮やかな「ナイス・シュート!」が1本あったのでもう5点。
ハンガリー動乱について詳しく知らないので、話の展開の大筋に関しては、批判する材料を持たない。かえって素直に受け入れた部分はある。だがドラマ構成は相当いい加減だ。それもこれも主人公の水球選手と、女学生活動家との関係を、無理矢理ロマンスにまとめているからではないか。しかも恋愛ドラマとして成立していないので、なおさらこういうスタイルを取った理由が不明である。
私なんかが気になるのは、主人公が、従弟だか弟分だかわからなかったが、大学生の友人が秘密警察に撃たれて死んだときに、警察が市民に銃を向けたことを怒るのではなく、それを予測しなかったと言って女活動家の方を責めることである(自分だって予測してないことは同じなのだが)。後に彼は、ノンポリスポーツ選手の立場を捨てて、「革命」運動に積極的に身を投ずることになるのだが、私にはこういう男に正義感があるとは思えないので、いまいち信用が置けない。実際に、水球は捨てたと言いながら、また舞い戻ったり、出ようとしたりを繰り返すので(物語の主人公とはえてしてそういうものではあるが)、最後まで私はこの主人公に共感できなかった。
細かいところで言うと、直前まで負傷者を抱えてソ連軍から逃げまわっていた女活動家(この負傷者とどこで落ち合ったのかも不明だった)が、次のシーンでは機関銃を肩にかけて普通に街の真ん中を歩いていたりするのも不思議だった。捕まりゃしないのか?と思って観てると、案の定?民家から男たちがワラワラ出てきて(←ここはウケた)彼女を包囲する。すると今度は何故かまたハンガリーの秘密警察に彼女は引き渡される(解散させられたんじゃなかったのか?)。ここの署長(字幕では「大臣」だったが)さん、立場上、尋問を得意とする人のようにも思えるのだが、彼女に食事を与えてから、裏切り者の名前を書けと彼女に紙を渡す。食事を貰った後にそんなこと言われたって書く訳ねえじゃねえか、と思って観てると、これまた案の定?自分で彼女に教えた愛称なんか書かれて激怒してる。結局これが元で彼女は死刑台に立たされる(ところまでは描かれないので正確には不明だが?)わけだが、こういった一連の描写に、なにか映画的に面白いところでもあるのだろうか? 私にはまったくわからない。
水球が国民的人気を博している国家だから、きっと素晴らしい国に違いない。
70/100(08/06/01記)
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