[コメント] デトロイト・メタル・シティ(2008/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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2008.8.26、TOHOシネマズ梅田で鑑賞。劇場は、ほぼ満席。 劇場に着くまであちこち歩き回っていて、ちょっと汗をかいていたのだが、どうせすいているだろうとタカをくくって入ったのが大間違いで、汗臭くて隣の人に迷惑だったのではなかったかと、申し訳ない気分だ。
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この映画の予告編は、かなり前からあちこちの映画館で見ていて、結構楽しみにしていた。渋谷系の主人公と、デスメタルの主人公の対比が面白く、織田裕二の『椿三十郎』でも青臭い好青年をうまく演じていた松山ケンイチ主演ということで、かなり面白そうだなと感じていたからだ。
私は原作は読んでいないので、原作ファンがどう感じるかはよくわからないが、映画としては非常に良くまとまっていて大満足の作品だった。
渋谷系ポップミュージシャンを志望していたのに、運命のいたずらでデスメタルのボーカリストとして望まぬ形でスターの座を射止めてしまった主人公が、公私のギャップのハザマで、彼をとりまく人々と繰り広げるドタバタが、最後はデスメタル日米対決に収束されていくというストーリーのこの映画。やもすると散漫になりがちなエピソードを、一つのストーリーにうまくまとめている。
加藤ローサとの恋、ワタクシ的には『ピンポン』の「アクマ」役の印象が抜けない大倉孝二が演じる熱烈なファン代表の一方的な肩入れ、母である宮崎美子との、ちょっといいエピソード、主人公が所属する事務所の社長で信念の人を過剰気味に演じる松雪泰子の極悪ぶり、バンドメンバーとのやりとり、大学の後輩との友情などなど、各人物との交流が非常に楽しく描かれ、それが一つにまとまっていく構成のしかたが巧みだなと感心してしまった。
ことに加藤ローサのびっくりするようなダイコン役者ぶりが、この映画においては違和感が無く、不思議とハマっているのが印象深い。
また、主人公が劇中で歌う「渋谷系おしゃれなポップソング」は、往年のフォークソングとニューミュージックに、水飴と蜂蜜を足して練って、2で割らずにそのままにしたような甘ったるい味で、これがまた笑える。
しかし、この映画の背骨はやはり松山ケンイチの器用な演技力だろう。これは彼なくして成立しない映画だ。
それから、往年のロックスター、ジーン・シモンズも登場していてびっくりした。
最後まで大満足の映画。面白いので是非どうぞ。
ただこの映画、お下劣なギャグやセリフが乱発されるので、そういうのが苦手な人にはお勧めできない。笑いどころは結構あるのだが、大声で笑って良いのかどうか悩ましく、みんな遠慮しているように思われた。特に九州のガールズバンドとして登場する「金玉ガールズ」のポスターと歌には思い切り笑わされたが、あまりに下品で笑うのがためらわれたのが残念だ。DVDを買ってくるなり借りてくるなりして、一人で見た方がいいのかもしれない。
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