[コメント] 光州5・18(2007/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
恐らく韓国では数本光州事件は作製されてるのであろう。コミカル部分とロマンスを加味した娯楽作は大衆を呼ぶには効果はあるだろうが、演出力が伴わなければ凡作になりかねない恐れがある。
俳優陣も一流、特にアン・ソンギを擁しているのである。だが、彼にしてみても中途半端な演技をしている。これはどう考えても演出力の欠如と言ってもいいのではないか。アン・ソンギの締まりのない演技を見たのは僕は初めてだ。
とは言え、この映画を見ていかにも不思議なのは戒厳軍が同じ民族である人間を無慈悲に殺戮できるのか、ということだろう。恐らくこれは事実なのだろうが、見終わった今でも不思議だ。異常な政治状況でもあったのかと調べたら、、。
当時は大統領が暗殺され、軍事クーデターが勃発し、全土に戒厳令が発せられていたのだ。その異常な政治状況を冒頭で説明していたら理解しやすかったかなあと思うけれども、勿論娯楽に徹しているこの作品ではそれは考えない。むしろ韓国では周知のことなのかもしれない。でも、日本人にはそこが空白となるのでどうしても説明不足は否めない。
ラスト、ほとんど殺されてしまった人たちとの夢想する結婚写真のシーンがある。しかし幸せに包まれている人たちの中で一人だけ花嫁であるイ・ヨウォン は笑っていない。彼女は最後の抗戦があった時、光州市民にマイクで「私たちを忘れないでいて欲しい」と訴えていた人である。やはり最後はそれでも印象に残る。それはこの映画が初めてこの事件に真摯に取り組んだシーンでもあるからだ。
でも、この娯楽性のおかげで韓国では大ヒットしたらしい。でも「シルミド」「ブラザーフッド」とは演出力、感動度からは雲泥の違いがある。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。