[コメント] 牡牛座 レーニンの肖像(2001/露=日)
ひとりの老いさらばえゆく男。最早半身は麻痺し、知能すら衰えかかっている。そんな男を執拗にカメラは抉り撮ってゆく。それに何の価値があるというのだ?まして祈るべき神すらも持たない孤独な彼であるというのに。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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共産主義の終焉を見るにしろ、神々の黄昏を見出そうとするにしろ、舞台にはただの非力な病人しかいない。それも、刻一刻と死へと近づく哀れな男である。批判も讃美も彼の前では意味を持たない。
だから、彼を追う意図が判らない。こんな描き方なら八百屋の親父の最後を描写するのと何の相違があるというのか。よしんばソ連…ロシアの観客から見れば蛇足でしかないにしろ、レーニンがこうなってしまう前の布石は不可欠としか思えないのだが。
結局、この映画はごく一部の人々のためのプライベートフィルムだ。共産主義の理想を信じつづけ、そしてそれが腐敗してゆく経過を見つめさせられた人々への、一種の贖罪のためのフィルムをソクーロフが撮ってやったにすぎないのだ。
(…それにしても、当時のマイナーコミック評論誌に過ぎなかった「ふゅーじょんぷろだくと」の代表が、よくも外国映画に出資などできたものだなあ)
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