[コメント] エデンの東(1955/米)
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捻りのある話でした。3千ドルの指輪を川に投げ棄てたアブラ(ジュリー・ハリス)は、それによって父を許します。え?君が指輪を投げ棄てたのに、君がお父さんを許したのかい?と優しい笑顔によるジェームズ・ディーン(キャル)の解説も良かったですが、理屈的ではないものの、そういうものかもしれないという気はしました。彼女自身は、私は父より大人である、今は父とは普通の関係、という言い方をしていましたが、要するに彼女は自分自身を許し、そして恐らく大人になったのです。
母から借りた金で父の損失を取り戻す、ということが、キャルにとっては自分自身を許し、そして恐らく大人になるために必要な儀式=行動だったのです。後に彼は、父の愛を金で買おうとしたと自ら反省しますが、でも同時に父の愛はもう必要ないとも気づきました。もちろん父の愛が不必要な訳はなく、二人の仲を取り成そうとキャルの父、アダム(レイモンド・マッセイ)を説得しようとしたアブラ(脳卒中の患者に話し掛けすぎとかは無しね)は、やっぱり大人だったのだと思います。
アダムがキャルへ頼むことって、何を言うかと思ったら、「看護婦を替えてくれ」。思わず笑ってしまったし、気がほころびましたし、僕自身がこの映画と和解できた気がしました。悪い魂に対する、この上なく力強い救済の話として、素直に受け入れることができました。でも、兵士になるため去っていったアロン(リチャード・ダヴァロス)は取り残されている。すべての魂が救われる訳ではないのですね。僕なんかは、宗教的な含意はちっとも分かりませんでしたが、良い魂とか悪い魂とか、二分する必要がそもそもないんじゃないかと思いました。
80/100(18/03/04見)
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