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[コメント] エデンの東(1955/米)

レタスは冷やさないと早く腐るが、人間の魂は暖めてやらないと腐りますという、魂の救済の話。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 捻りのある話でした。3千ドルの指輪を川に投げ棄てたアブラ(ジュリー・ハリス)は、それによって父を許します。え?君が指輪を投げ棄てたのに、君がお父さんを許したのかい?と優しい笑顔によるジェームズ・ディーン(キャル)の解説も良かったですが、理屈的ではないものの、そういうものかもしれないという気はしました。彼女自身は、私は父より大人である、今は父とは普通の関係、という言い方をしていましたが、要するに彼女は自分自身を許し、そして恐らく大人になったのです。

 母から借りた金で父の損失を取り戻す、ということが、キャルにとっては自分自身を許し、そして恐らく大人になるために必要な儀式=行動だったのです。後に彼は、父の愛を金で買おうとしたと自ら反省しますが、でも同時に父の愛はもう必要ないとも気づきました。もちろん父の愛が不必要な訳はなく、二人の仲を取り成そうとキャルの父、アダム(レイモンド・マッセイ)を説得しようとしたアブラ(脳卒中の患者に話し掛けすぎとかは無しね)は、やっぱり大人だったのだと思います。

 アダムがキャルへ頼むことって、何を言うかと思ったら、「看護婦を替えてくれ」。思わず笑ってしまったし、気がほころびましたし、僕自身がこの映画と和解できた気がしました。悪い魂に対する、この上なく力強い救済の話として、素直に受け入れることができました。でも、兵士になるため去っていったアロン(リチャード・ダヴァロス)は取り残されている。すべての魂が救われる訳ではないのですね。僕なんかは、宗教的な含意はちっとも分かりませんでしたが、良い魂とか悪い魂とか、二分する必要がそもそもないんじゃないかと思いました。

80/100(18/03/04見)

(評価:★4)

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