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[コメント] 市川崑物語(2006/日)

岩井俊二と俺の想いがリンクした時、思わず涙した。市川崑上級者向き。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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プロデューサーが一緒であることから推測するに、おそらく2006年版『犬神家の一族』のメイキングになるはずだったのだろう。黒沢明『』のメイキングを大林宣彦が作ったように。 ところが出来上がったものは『ある映画監督の生涯』だった。ただ、新藤兼人のような執念のインタビューで構成するわけではなく、一方的に岩井俊二の想いを綴っていくだけだが。いやもう自主映画ですわ。

岩井俊二は、スタイリッシュだから好きだという人もいれば、スカした映画ばかりだから嫌いだという人もいる。 私はどちらでもない。好きな作品もあれば嫌いな作品もある。だが、岩井俊二のテクニシャンぶりは評価していた。それが市川崑の影響を強く受けていた結果だったとは。この映画を観て全て納得した。

私は76年版『犬神家の一族』のコメントで、岩井俊二が菊人形シーンを高く評価していることを書いたが、この映画でも改めて言っている。そして私は遺言状シーンの凄さについて書いたが、今度は岩井俊二がそれを語った。

岩井俊二は、市川崑と和田夏十の関係に的を絞って本作を展開した。その手腕は見事だが、二ヶ所だけ異質なところがある。 美少女好き岩井俊二の血が騒いだ(と思われる)市川崑幼少期の初恋再現映像。 そして市川金田一シリーズの語り草。想いが溢れ過ぎてオカシナことになってる(笑)。

岩井俊二が好き過ぎてどうしょもない市川金田一と私が好き過ぎてどうしょもない市川金田一がスクリーンで展開される。あの遺言状の異常なカット割が目の前で繰り広げられる。泣いた。試写室並の小さなスクリーンだったが、そこには確実に俺と岩井俊二の熱い想いがスパークしていたのだ!

あ!勢いで高得点付けちまったが、スパークしていたのは市川崑の演出だった!

つーかこの映画、ターゲットが狭いな。市川崑ファン以外、誰も楽しめないぞ。

(評価:★4)

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