話の転換ごとに挿入される（ウッディ・アレンが見ているという設定の）映画の場面が、それぞれ本筋の物語に関わっているというのも洒落ている。

そうそう、たまたまその時に見た映画が実生活とリンクしちゃうことってあるよね。だからこそ感情移入して好きになったり嫌いになったりする場合もあるよね。試行錯誤させられたり元気づけられたりすることもあるよね。 ただただ不思議で、その偶然の一致にびっくりすることもあるよね。

みごとなほど爽快な『野いちご』のパクリといい、アレンは本当に映画が好きなんだなぁと思う。

映画を作る側である前に、まずは一介の映画ファンであることの喜びを知っている人なんだなぁ、としみじみ感じる。そして、そのことをとても嬉しく思う。気さくに差し出された「手」のようなものさえ見えてくるときがある。

つまり、愛や人生についての重いテーマを扱うのと同時に、特殊な愛情にも満ちあふれた作品であるような気がする…。それもまた、この映画のステキな醍醐味。