[コメント] 近松物語(1954/日)
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家柄や自分の既得権益を手放す事を恐れるあまり身の回りの者を切り捨てていく姿は時代は変わっても現代にしっかりと継承されている事が思い知らされます。そしてラストのおさんと茂兵衛との二人の手をつないでいるシーンの感動を誘うテクニックは見事&飛ぶ鳥を落とす勢いの威勢の良かった店が取り潰しの憂き目に遭い主人の既得権益が危篤権益に変わるあたりの描写力はさらに見事だった!!途方に暮れる主人を出さず清々しい二人の手をつなぎ愛が成就した姿を演出して大正解!スカッとした!恋いにウブだった時代の犠牲者と、そして、その時代の弱気を挫き強気を助ける構造に哀れみとただただ目をそらすばかりのシーンに耐えられなくなりそうにもなったけれど帳消し!それにしても全世代&全時代共通の金に醜くなる人間模様をと悲恋(見方変えれば幸せな恋)を描き続けた近松門左衛門恐るべし。
でも、兄ボンクラ商人の商才の乏しさからの実家からの金の工面をせかされて工面しようとするおさんもたいがいやけど、こら茂兵衛!奉公するのも役目だけれど不正に荷担してはいけないだろう!話を聞き主人と第三者をたてた話し合いはすべきでしょうが!それに自分の懐からお金を出すと思いきや不正とは結局茂兵衛さん、あなたもダメ男だったのね…はぁ私ならそうはしない。真っ向勝負で戦う策を私ならとる。証拠も何もかもあるのに裁判にでないで冤罪をかけられてもなお奉公だからと凄む人間にはなりたくない。茂兵衛さん、ひょっとして不正の常習犯だから後ろめたさも作用して奉公奉公って連呼してたの?嗚呼、あなたが大嫌いだ。焼け石に水の逃走劇も失敗になるのも目に見えてるし…
って映画にのめり込んだから言える言葉なので文句なしの5点!自分がこの時代に生まれなかった事を本当に幸せだと思わせ、見る人を怒らす&憤らすし平和な世の中では使うはずのない眠っている感情を起こらす映画を名作と言わず何という?!名作だ!!!怒らすツボが満載で素晴らしい!恐るべし奇跡のペア溝口&宮川が地上に宿した聖なる映画!!
2002,4,26
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