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[コメント] 秋日和(1960/日)

小津安二郎監督作品の最高傑作と呼びたいです。「痒いところにはメンソレータム」で大笑いしてしまいました。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







東京暮色』で思い切り暗い映画を撮って、カラーになった『彼岸花』でもちょうど同じような状況を映し出していましたね。

ほかのみなさんがコメントしている通り『晩春』という作品の反比例に位置付けられます。

それにしてもカラーになってからの小津作品は実にはじけてますね。

この作品の前に松竹を離れて大映で作った『浮草』という作品があるんですが、ここでは東京を離れて関西弁の応酬を見ることができます。素晴らしい作品です。映像的にも厚田雄春ではない宮川一夫のカメラが見事でした。

本作はそれほど難しく見る映画ではありませんが、中年サラリーマンのアホな行動が、今となってはおせっかいですが、年頃の女性とか男性のことを、家族ではない他人の関係がいろいろ気を使うという当時の世相がくみ取れます。

そして一人残されるであろう母親のことを思って泣く娘についても、とても今では想像できませんが、当時の社会であれば(今とは違って)中年女性を一人アパートに置き去りにするということが、どういうことか、時代の違いがありますね。

テレビも普及する直前です。一人女性が家にいてもやることなどありません。そんな母親を一人残して家を出るなんて、とてもできないことでしょう。

映画全体はとても明るく楽しい作品に仕上がっていますが、時代背景としてジワジワ都会に押し寄せる「孤独」を印象付けるラストシーンでしたね。

最高傑作だと思います。

2010/04/24 自宅

(評価:★5)

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