[コメント] 虎の尾を踏む男達(1945/日)
敗戦がなければクロサワってこんなのばっか撮り続けたんだろう。観客の感情を誘導し続ける榎本健一の顔アップ連発は最悪、映像的ファッショそのものだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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山伏のコスプレして関所を騙して通る話で、まあ少年向けの講談なんだけど、適当に真言など唱える大河内伝次郎から少年は何を学ぶのか。
学ぶのは、念仏の有りがたい文句などどうでもいいということ(実際、劇伴がうるさくてよく聞き取れない)、世の中には敵と味方がいて味方のためには敵をいかに騙すかが大事であること、正論などいらない騙せばいいということ、そんなことだ。
そのために義経の仁科周芳を打ちすえて後、大河内は土下座して謝る。主君は許す。ああ美しい。大事なのは忠義だけであり、思想(仏法)などどうでもいいのだ。そして酔って大騒ぎ。実に下らない。こんなものから子供は何を学ぶのか、学校生活を乗り切るための忖度ぐらいのものだろう。
勧進帳読みあげさせるが覗きこまない藤田進からは、上手く騙してくれというニュアンスが感じられる。内輪の段取り芝居な訳で、真面目に取り締まっている藤田の部下が気の毒である。殆ど隠れている義経の描写は後の『孤獨の人』などの天皇描写を想起させるものがある。
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