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[コメント] シンデレラマン(2005/米)

昂揚感溢れるファイトシーン。家族のためという文句の付けようのない大義名分。それを唯一の頼りに夫を見守るもの分りの良い妻と可愛い子供たち。実在のシンデレラ男の苦節を、ものの10秒の粗筋で語りきるることができるほど単純化した脚本。野暮は承知・・・
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







きっと映画の肝は、夫ブラドック(ラッセル・クロウ)の再起を賭けたタイトルマッチに際して不安に駆られた妻メイ(レニー・ゼルウィガー)が、マネージャー・ジョー(ポール・ジアマッティ)の自宅を訪ねるシーンなのだ。夫の復活戦を止めさせたいと懇願するメイに、これまたマネージャーとして復活を期すジョーの奥さんは言い放った。「あなたは戦うと決めた男をとめられる?女は黙って戦う男を見ているしかないのよ」と。

今年(05)の夏、イラク戦争で息子を亡くしたシーハンという48歳の女性がブッシュ大統領との面会を求め、反戦団体のメンバー数十人とホワイトハウス前で抗議行動を展開し逮捕されたというニュースがありました。ワシントン周辺では、この他にも抗議活動が相次ぎ約370人が無許可デモなどで逮捕され、一躍「反戦ママ」シーハンさんはイラク反戦活動の象徴として注目を集めデモは全米に拡大する勢いだと報じられていました。

見事なまでに対立する価値観。この映画がイラク反戦活動を牽制するために企画され、昨今いささか勢いが衰えつつある国民の戦意を煽るために製作されたのだ、とまでは言いいません。この戦意昂揚臭がプンプンする映画の公開が、たまたま05年だっただけでしょう。

まあ、こんな「力至上主義」映画は、アメリカには掃いて捨てるほどあるでしょうから、今さら目くじら立てて善良そうなラッセル・クロウや、レニー・ゼルウィガーを非難するの野暮と言うものでしょう。

ただ、どうしても嫌なのはマイケル・ムーアの『華氏911』を絶賛しながら、この『シンデレラマン』に素直に感動していまう人がいるということ。この無自覚なお人好しこそ、私が一番怖いなあと感じる人たちなんです。

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ちょっと余計なことを書たかも知れません。気に障った人がいたら、あなたに悪気がないように、私にも悪気はありません。ただ、本当に怖いだけなんです。

(評価:★2)

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