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[コメント] 蟹工船(1953/日)

蟹工船という北海上の牢獄こそが主役。当時の蟹漁の現実こそが主演。☆4.3点。
死ぬまでシネマ

人間ドラマの部分は漁民の出自の説明から、虐待に対する怒りの爆発迄をプロレタリア文学的になぞったもので、やや教条的な印象は否めない。しかし何と言っても小型船による蟹漁から母船での蟹罐製造迄の過程を、リアリズムで描き切ったのが圧巻である。画面に映る中に本物の蟹漁漁師がいるのか、どれ位が役者なのかは判らないが、名優陣だけでなく子役達含めて、演者の肉体と労働が映画の重みを担保している事が、この映画をプロレタリア映画の金字塔足らしめている。

漁民を人間と思わない労務管理人。労務管理人以外を帝国臣民と考えない帝国海軍(の士官)。現代でも変わらない部分は多い。だとするなら、その時人間を守るのは法と労働者の団結しかない。法は人間の努力で漸次改善しつつある。団結は?

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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