[コメント] サマリア(2004/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
◆チェヨン(ソ・ミンジョン)
笑顔を絶やさず嫌な顔一つせず、援交をし続ける心情が理解できなかった。 映画では特に描かれていなかったが、家庭に何か問題があり、私がいつも明るく笑顔でいなくちゃと強く思っていたり、愛情や温もりに飢えていたのか…。想像するしか無いが、想像力の乏しい私はあれこれ想像し考えるよりもまず、理解できないと言う感情が先立ってしまった。 「男の人はエッチをする時子供になるのよ。」(だっけ?こんな台詞ありましたよね!?) と言っていたチェヨンには母性すら感じた。 子供にかえる男性に甘えられる事を至福に感じているようだった。 そう思うとやはり、極度に愛情に飢えていたのだろうか。。 援交(ここでこの言葉を使うのはちょっと違う気もするが‥)するのは、ヨジン(クァク・チミン) とヨーロッパ旅行に行く為。と託つけ、望んでやっていたように私は思う。 あぁ、こう言った形で穴を埋めるのではなく、特定の彼とか出来てれば良かったのに! チェヨンは最後、笑顔のままラブホの窓から飛び降りる。鑑賞直後は「はぁ?ぇえええ゛?」 とか思ったけど、やはり彼女は何か家庭に問題を抱えていたんだと今は思う。 ヨーロッパに…、遠いトコロ・未知の場所へ行きたかった気持ち、笑顔を絶やさず見知らぬ男達と次々と関係を結んでいた気持ちが少し分かった気がする。
◆ヨジン(クァク・チミン)
見張り中ちょっと目を離した隙に警察が押し入り、逃げようと窓から飛び降りたチェヨンを死なせてしまい、自責の念にかられ、チェヨンの援交相手を訪ねお金を返す…までは分かります! けれど、なぜお金を返すだけでなく、その男達と寝たのか!? 忌み嫌っていた、見ず知らずの男達と関係を結ぶと言う行為を自ら行えたのか…。 この罪滅ぼしの意は? そして、その男達もなぜヨジンを抱けるのか!? 鑑賞して大分経ち、時折考えるのですが、ここが未だ分からない点です。
”少女”を抱くのがいけない事、これは暗黙の了解のよーなもの。 けれどそう言った歪んだ欲求・抑圧した感情を抑えきれずに抱き関係を結び、その後後悔する人もいて、、それでも繰り返す。そのどうしようもなさが描かれていれば、まだ納得が出来たかもしれない。 けれど違った。 チェヨンに渡したお金をヨジンに返してもらい、ヨジンを抱き、男達は平安を得、浄化されるだなんて! 男に平安を与え浄化させるのが娼婦でも構わないと思う。けれど、ヨジンは少女だよ!とこの不条理さに納得が出来なかった。 ラスト…この先ヨジンがどうなっていくのかは分からない。真っ当に働いて生きていくかもしれないし、娼婦になってるかも。。。けれど、彼女は大丈夫。そう思いたいっつーか、思える。
◆ヨジンの父(イ・オル)
考えても考えても分からないが多かった前者2人だが、一番感情移入できた・心情を理解し易かったのは、ヨジンの父。 ある日唐突に知った事実。打ち付けられた鋭い痛み。 そして沸々と沸き起こる悲しみと憤り。 考えれば考える程、時間が経てば経つ程、癒えるどころか 「なぜなぜ…」 と、自分では歯止めの利かない怒りは増幅し…。 エスカレートしていく男達に対する態度。 にこやかだった父が言葉少なになり、父と娘との何とも言えない沈黙・間。 警察官とは言え、男手ひとつで育ててきた娘、その娘の行為にどんな背景があろうとも、娘の味方と言うか、何としてでも守ると言った視点でしか見れない等身大の父親が描かれていた。 問い詰めたり言い正したりせず、娘を信じ、車の運転を教え(それには色々託していたのは言うまでもないだろう)、自首。 喉が詰まる思いがした。胸ではなく、喉。 (ヨジンが関係を持った男を)殺すまでしなければ…とゆう思いと、そんなコントロールが出来ないから人間は複雑で切ないとゆう思いとで。
'05.04@恵比寿ガーデンシネマ
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