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[コメント] 太陽の中の対決(1967/米)

エルモア・レナードの原作(村上春樹訳)を読んだので、興味がわき見る。原作との比較の話になって申し訳ないのだが、改変部分は悉く上手くいっていないというか、プロットもキャラクターも薄められてしまっている。
ゑぎ

 まず、主人公のポール・ニューマンは、アパッチに育てられた白人という設定なのだが、決定的にアパッチらしさが希薄だ。また、原作で最後に主人公にタメをはる役柄である、アパッチに拉致されていた白人少女、という複雑なキャクターが出てこないのだ。代わりに、中年の女ダイアン・シレントと、若い女マーガレット・ブライの2人に置き換えられている。ブライは『荒野の隠し井戸』の2年後だが、全然目立たない。(『荒野の隠し井戸』では暴行される役だった!)また、フレデリック・マーチが、憎まれ役を演じているが、もっと上手く使わないと(嫌らしく演出しないと)もったいないじゃないか。さらに、これが一番よろしくないと云えるかもしれないが、水がないことの枯渇感がいまいちなのだ。バーバラ・ラッシュが太陽の下で干上がっていく場面でさえ、暑さの描き方が生ぬるいとは。

 さて、クライマックスの決闘の場面は、簡潔な銃撃シーンで、キレのあるいい演出だ。こゝは誉めるべき。あと、リチャード・ブーンが相変わらずの存在感で及第点だし、メキシコ人の悪役・フランク・シルヴェラが、原作通り、ラストを締める良い役だ。という訳でエンディングがいいので、ある程度の満足感はある。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)袋のうさぎ

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