[コメント] マシニスト(2004/スペイン)
不条理の描写について。(レビューはラストに言及)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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主人公の体型や、過酷な労働現場のなかで神経過敏になっているところを見るにつけ、彼が尋常な精神状態ではないということはすぐに理解できる。本作は基本的に主人公の主観によって話が進んでいくが、数々の不条理な事象は主人公のストレスと疲労等が原因で、それによって主観が捻じ曲がっているのだろうなとも容易に想像できる。
とはいっても、想像できるからといって、それが即、低評価につながるわけではない。中盤までは、主人公の切迫感がひしひしと伝わってくるような優れた描写であった。
しかし、不条理な事柄は不条理であるがゆえに話のとば口が広がっていく魅力を備えているのに、本作での不条理には明確な理由がつけられてしまう。いわゆる「オチ」がつけられることによって、それまでの主人公の主観による不条理は「常識的・一般的」視点から「異常」なるものと位置づけられ、急に突き放されてしまう。そこがつまらなくて物足りない。こういう「優等生的」な作品を観ると、デビッド・リンチって天才なんだなと改めて思う。
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