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[コメント] オーシャンズ12(2004/米=豪)

感想1:ブラピの丸坊主が格好良かった。感想2:ブラピのサングラスが格好良かった。感想3:ブラピのグレーのテラテラスーツが格好良かった。ゴメンなさい、そんな映画ですが4点です。僕大きくなったらブラピになりたい。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 実際、脚本はかなりいい加減に思えます。ラストの「実はナイトフォックス(ヴァンサン・カッセル)より先に盗んでました!」っていうドンデン返しに持っていくために、物語の整合性とか必然性は二の次にされてる感じ。

 まず、オーシャン(ジョージ・クルーニー)たちがナイトフォックスより先に卵を盗んでいたのなら、その後の泥棒勝負はもう不要なはず。そこを敢えて最後まで戦ったのは、伝説の怪盗ルマークが堂々と娘のイザベル(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)と会えるようにするため、つまりイザベルを警察から引き抜くためだったわけなんですよね? ここまでは僕でもどうにかわかるんです。ただその引き抜く作戦において、重要なのは「彼女が公文書のサインを偽造する」ってところなわけで、そこを「偽造することも予想の範疇でした」にしちゃうのはちょっと都合が良すぎやしませんかと。そもそも彼女の上司がサインをするかしないかだって判らないわけだし。

 またそのイザベル自身も理由もなく勘が鋭すぎます。ラスティ(ブラッド・ピット)と付き合っていたからといって、彼らの計画から行動、狙いまで何でもかんでも気付きすぎ。ちょっとエスパーのような勘の良さです。そもそもスティーブン・ソダーバーグって、観客にギリギリの情報量しか与えずに物語を推し量らせるようなところがあるじゃないですか。今作もそれに何となく誤摩化されちゃうところはあるんですけど、これじゃ情報が少ないんじゃなくて中身が薄いだけに思えます。

 本来であればこういう犯罪物って、かなり緻密な脚本があってこそ面白みが増すジャンルであり、ここまで力押ししてしまうのは普通なら致命的な欠点になるはずなんです。ナイトフォックスの忍び込み方なんて、力技以外の何者でもないし。ところがですね、何故だかこれが大して気にならないくらい物語に乗れちゃったんです。僕はこれは、今作の彼らが「ダメ」で「悪い」男たちだからなんだろうと思っています。

 前作の彼らが強者の金を奪い取るという強い攻めの姿勢であったのに対し、今作の彼らは、盗んだお金を返すためという非常にネガティブな理由で怯えながらオタオタと仕事を始めます。ハッキリ言うとかなりの落ちぶれっぷりです。ただこの「ダメな悪い男」って色気があるんですよね。可愛げとワイルドさが同居して、何ともいえず香ばしい香りを醸し出したりするんです。結果としてこれが前作の「プロ集団」よりも、俄然人間味を出させているんじゃないかと思うんです。特にブラッド・ピットが「悪いワイルドさ」、マット・デイモンが「ダメな可愛げ」を象徴しています。

 また「いくつに見えるかを気にするオーシャン」とか「部屋で吹き替え映画を観ながらワインをドボドボこぼす2人」などの小ネタが、どれも非常に効いていて楽しい。ともすれば下らないギャグになりそうな小ネタの数々が、映画自体の持つゴージャス感に助けられることで、人物像に厚みを与えているんです。普段はグズグズで下らないことばかりやってるダメで悪い男たち。もう色気メーターは120%充填完了です。

 そしてそれがラストの「実はもう盗んでました!」で炸裂することになるんです。「本当はダメじゃなかった!」「やるときゃやる男だった!」というカタルシス。もう「色っぽい!かっこいい!いやっほう!」ですよ。そんな炸裂観せてくれるなら、そりゃもうストーリーの些末な部分には目を瞑りますよ。

 というわけで、「ダメ集団が右往左往しながら実はスゴかった物語」という、前作からは全く離れたところでの面白さに、ついつい無防備な気持ちを持っていかれてしまった作品となりました。あぁ、僕もテラテラスーツが欲しい。

(評価:★4)

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