[コメント] 続大番 風雲編(1957/日)
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昭和7年宇和島。加東は破産しての帰省なのだが、儲けた頃に贈ったカネ(家は豪華に改修されている)の残金がたんまりあって苦境は簡単に解決されてしまう。彼のお大尽振りが色々描写され、太刀川に彼の一年分の小遣いをポンと渡し、彼の寄付で学校には二宮像が建っており、原の旧家の柳永二郎にまでお声がかかり酒を呑んで予想される軍需景気のノウハウ伝授(インフレになりカネの価値が下がるから、カネを物に替えておいたほうがいいと云っている)して有難がれる。
田舎社会がカネでもって再編成される様が喜劇の背景としてドライに描かれている。芸者の青山京子を何だ650円ぽっちと簡単に身請けするのは痛快。柳の土産届けに原節子の洋館(軍人の肖像が飾られている)訪ねて杓子定規な対応で粗品貰って帰ったり、汽車でばったり出会って一生懸命挨拶して去った後、原が亭主の平田昭彦と忍び笑いを交わすショットなど、成金の通用しない貴族社会も示されている。
加東は上京して借金返しながらサイトリ再開。国連脱退で物価が上がり、サンキン株(って何だろう)、金の価格が上がると日産(日本産業)株を買って儲けている。「現場店」を開店、これは第一作の勤め先と同じ美術、東野が恐慌相場が来てすぐ潰れると不吉に予言して的中し、すぐ潰れているが、すでに大恐慌のはずでありよく相変わらずよく判らない。親店の河津と再び鐘紡(海外進出するから儲かると踏んでいる)で勝負して、2・26があり兜町が中止になるも139万円(600倍で8憶円余り)の大儲け。
信濃町に邸宅構えるが日中戦争、「戦争が始まれば買いだ」と投資するが統制経済で糸偏は暴落(これは有名。軍需に傾斜配分された)して破産、河津は自殺。加東は借金取りから逃げ回り、屋敷売って職員の退職金に充て、河津の葬儀の受付している処に借金取りが来るが彼等は何も云い出せないという件がある。そこに東野が来て相場師に自殺はつきものといろいろ事例を講釈しており、この薀蓄は面白そうだった。加東は相場は恐ろしいと初めて判ったと自戒して幕。
加東のオンナ遊びは他愛なく、身請けした青山京子が上京してきて困ったり、妖艶な築地の芸者中田康子(加賀まりこそっくり)に旅館買ったり、彼女らとアワシマの確執があったり。彼女が怒って出て行き玄関の戸をバシリと閉めると部屋中の襖が倒れるコメディが本作のベストショット。彼女もちゃっかり店持たせて貰っている。
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