[コメント] エイプリルの七面鳥(2003/米)
どうしようもなく涙があふれた。映画をみて自然に涙することを忘れかけていた自分にとっては、もうそれだけで5点。Thanksをたっぷり詰め込んで5点。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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七面鳥が完成する過程や、娘の家までたどり着く道程での失望や裏切りのエピソードの連続を通して、エイプリルと母親の心情が徐々に、ヒリヒリと痛みを伴って伝わってくる。尋常じゃなくナーバスな母とトコトン不器用な娘の和解なんて、そりゃもう聞いての通り全然楽じゃないよ。でも、楽じゃないからこそ、数々の失望や裏切りを掻い潜って掴めた「和解」の味は、それはもう格別なんだろうな。あんなに必死で用意した七面鳥料理も、最初は「こんなもんだろ」とかなり投げやりだったのにね。「どーせ」とあきらめ半分だったけど、あきらめきれない自分に気づいちゃったんだろうね。
あのトイレの母娘のシーン。置いてきぼりをくらって心細げな女の子を見つめるエイプリルの母の表情。置いてった者には自らに置いてかれた者のそのみじめな姿なんて、決して見ることはできない。でも、あそこでその全てを理解することができた奇跡。そしてその瞬間、冒頭の何気ないエイプリルの寝起きのトイレのシーンに、一つの意味を与えてさえいる。あれだけ映画の中で言葉が乱れ飛んでいるクセして、実際はその隙間を埋める行間が大切にされていたりもする。脚本が有機的であればしっかりと血も通うワケで、それゆえに全てが温かく映るのかもしれない。
(2005/11/03)
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