[コメント] リディック(2004/米)
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前作はB級SFホラーのクリーチャー物だったのに、よくここまで大風呂敷を広げたもんだ。超マイナーだった(というより知らない人がほとんど)前作ファンとしては、こういう形で続編というよりも「大出世」したことが、とても感慨深いが、前作は低予算なりの努力が隅々まで見られたが、そのあたりが「大作」になったおかげで、地に足が着いていない印象。いきなり「クロニクル」といわれても、「SW」や「指輪」のように下地ができているか、よっぽど面白くなければ、ファンはそこまで深くお付き合いしてくれない。全米の成績も、思ったほど芳しくなく、はじめから「3部作」を作る予定だったそうだが、はたして「2」へたどり着けることができるのだろうか。
映画の印象としては、大風呂敷を広げたわりには、ストーリーがあまり深くないので、設定が浮いてしまった印象。キャラも主人公リディックと、ある一人を除いては、あまりうまくはまっていなかった。とくにジュディ・デンチに違和感を感じてる。どちらかといえば、彼女は「でん」と構えて、一番奥で君臨している印象で、自ら動きまわる感じではないのだが。
サンディ・ニュートンは正直気持ち悪かった。もちろん「ヒロイン」として存在しているわけではないので、それでいいのかもしれないが、ヒロインのキーラが、リディックと恋に落ちるような役どころではなかったので、彼女にはもっとリディックを誘惑するような「策略的な色気」を発揮してほしかった。
ヴィン・ディーゼル本人は、大車輪でがんばってました。とにかくストーリーと世界観がかみ合っていないこの映画の中で、彼のアクションに頼りっきり。一人孤軍奮闘。でも、映画は「アクション娯楽作」ではなく「SF超大作」なので、限界は見えている。彼一人のがんばりで、『ロード・オブ・ザ・リング』『マトリックス』を超えるという制作費をかけた分の「つりあい」が取れるわけでもなく、結果「惨敗」。
で、個人的に魅力を感じた脇役がひとり。「賞金稼ぎトゥームズ」のニック・チンランド。ヒュー・ジャックマンを悪役にしたような顔で、「く〜〜っ、リディックの野郎、憶えてろ〜っ!」と遠吠えをする、憎めないヤツ。彼が一番、人間的だ。リディックVSトゥームズのところも、アクション的に結構面白かった。
「2」をつくるなら、ネクロモンガーの首領になったリディックは、非道の限りを尽くすが、そんな彼の前にトゥームズが、15歳になったイマムの娘を連れて立ちはだかる・・・とかないかなぁ(おそらくイマムの娘は「クロニクル」の中で、次世代のヒロインとして登場するつもりだったのは間違いないと思うのだが)。
あぁ、そうだ、前作の「生き残り」たちは、死んだ人たちの命を背負ってるわけで(イマムは特に)、だから続編にこんな形で出されて、こんな形の扱いを受けるのなら、はじめから出さないで欲しかったと、前作ファンは強く感じる。
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