[コメント] 二等兵物語 前篇女と兵隊 後篇蚤と兵隊(1955/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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リアリズムの『真空地帯』に対してアチャラカ喜劇の本作。ギャグは序盤はウンザリするが入隊以降は打率が上がる。上官の浮気ネタに妻(B29と呼ばれる)のヒステリーなど、喜劇だから見やすくなる批評があり巧いもの。アチャコの強いられた蝉の鳴き真似が残酷で記憶に残る。息子と飼犬という設定はベタベタだが、この犬がアメリカの空爆で殺される件がすごい。アメリカを直接に非難する描写は51年以降でも珍しい。
耐えるばかりの『真空地帯』に対しては本作は伴淳の卓袱台ひっくり返しが用意されていた。古典的な成敗と共感のカタルシス、なるほどこの手があったかと膝を叩いて感心したことだった。伴淳を召集しなきゃいけない時点で白旗あげない軍隊の見識こそ問われるべきで、軍人同士仲良くして戦争に勝てる訳もなかろう。しかし論点はそこじゃなかろう。軍隊ではエリート衆の一般市民に対する底無しの不審が非道の連鎖に至った。も少しなんとかなりませんかね、と55年に伴淳(本作は彼の企画)は問うている。大衆に支持されて続編が作られたという事実は重い。
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