[コメント] 特急にっぽん(1961/日)
メインプロットは、特急こだま号、東京−大阪間6時間のお話だ。冒頭で出発前(当日朝から)の準備シーンがあり、主要キャラと関係性を簡潔に見せる。開巻は建物の屋上のお稲荷さんに団令子。彼女は食堂係で本作のヒロインと云っていいだろう。食堂係の女子皆で風呂に入るシーンが続く。フランキー堺の登場は、列車の中で寝ている場面。寝過ごして飛び起きる。かれは食堂車のコック。団と堺はつきあっており、結婚して自分たちの店(「あいのこや」という大衆食堂)を持ちたいと云う。チーフコックは森川信。食堂長は丘寵児。また、食堂係と客室係(スチュワーデスと呼ばれる)との対立も描かれる。客室係には白川由美、横山道代(道乃)ら。フランキーは、白川から、赤坂で料理店を一緒にやらないかと誘われる。
こだま号の乗客達。大阪「さくらガム」の社長・小沢栄太郎。小沢の隣席には謎のチャイナドレスの女・中島そのみ。沢村貞子と滝田裕介の親子は、団令子を旧知であり、滝田の嫁に考えている。食堂車に居座る、酔っぱらいが田武謙三。その他、団体客で何かの「講」の人々は「ありがたやありがたや」という歌を唱えるが、通路をゴミだらけにする、というアイロニー。あと、特別列車に乗り込む代議士とガードマン達。これら沢山の登場人物の群像劇だが、時限爆弾騒動とスリ騒ぎでコメディを推進する。また、鉄道公安官役の堺左千夫が列車内を動き回ることで、画面に動きが出る。
そして、度々こころみられるサイレント処理による緩急についても特記すべきだろう。概ねカメラが列車の窓外に出ると、サイレントになるのだ。まず最初の、運転手の出発の掛け声が聞こえないのは、オッとなる。終盤のドタバタ。そして、ラスト数分は完全なパントマイムだ。このエンディングのサイレント演出は全くお見事。面白い!
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