[コメント] 鬼婆(1964/日)
乙羽信子の熱演には感服するものの、やはり当時の彼女は鬼婆と呼ぶには若すぎるし、健康的すぎる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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彼女はどことなく健康的で、私の中でどうしても「陽」のイメージがあり、「陰」の雰囲気をかもし出すのが難しい気がします。鬼となる力強さ、怨念などには説得力があるのですが、おどろおどろしさや色気にはやや欠ける気がします。ハチを誘うシーンなども、単に嫁を取られたくなくて必死になっているようにしか見えず、もはや枯渇したと思っていた自らの欲望が徐々に湿っていくような、そんなオンナの哀しい艶が感じられない。やっぱり健康的すぎて、イヤラシさが滲んでいないんです。田中絹代が『噂の女』で見せた、哀しく惨めくさい老いぼれの色気みたいなものを見せてほしかった。
音楽と撮影は、作品の雰囲気に馴染んでいて聞きごたえ、見ごたえがありました。特に真夜中に嫁がすすき野を疾走するシーンは、感情の迸りすら見えた気がしました。
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09.05.14記(09.05.03DVD鑑賞)
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