「大統領はいい人だ」「俺はメキシコの息子だ」

まず、大統領が良心を見せるような描写、あったっけ？。勇敢な振る舞いはあったっけ？。ほかのメンツの凶悪ぶりは披露されたけど、大統領も「同じアナのムジナ」にしか見えなかったんだけど。

将軍への復讐や、デフォー一味に対抗する為の「アテ馬」と「金ヅル」として大統領を守るってほうが、まだ判りやすかったんだけど、そこにトドメの「メキシコの息子！」

もう、見ている私は、方向性を失ってしまって、誰が何をしているのやら、さっぱり。デップはデップで、ひとりで墓穴掘って、ひとりで解決してるし。将軍のクーデターに応戦しているのは、いったい誰だか全然わかんないし。デフォーは影武者作る必然性がまったくないし、あっさりやられちゃうし。ミッキー・ロークは、存在の必然性がないし（元ＦＢＩ捜査官を彼にしてもよかったんじゃないかな）。エヴァ・メンデスは色気ないし（ハエックはあくまでも「過去」なんだから、エヴァにもっとニュー・ラテン・ヒロインとして、デップやエンリケあたりを誘惑するとか、バンデラスに惚れるとか、もっと「女」になってもよかったんじゃないだろうか。あくまで「武闘派」にするなら、ほかにヒロインをつくるべき）。

ダニー・トレホは結構いい味出していたと思うが、ちょっと設定にひきづられた。

で、バンデラス。もう若くないんだから、ＨＯＴに暴れまくるってより、ＣＯＯＬにキメるって感じの本作のありかたは、間違っていないと思う。ギターを奏でるシーンはしびれまくり。ただ、冒頭に挙げた「痛恨」と、あまりにもデップと絡まなさ過ぎるところで、映画としての魅力に結びついてこない。

デフォーの影武者と、デップのペテン具合をうまくストーリーに絡めれば、もっと面白くなるはず。まだ期待は捨ててません。