[コメント] ジョゼと虎と魚たち(2003/日)
徐々に語られるようになってきた「身障者の性欲」。その内情を知るとコレはまるで夢物語だという。
身障者だって性欲はある。当然のことだが決してオープンに語られることが無かった事実。
かつて山田太一が描いた『男たちの旅路』の中で、車椅子の青年が父親にトルコ風呂に連れて行ってもらうというエピソードに衝撃を覚えた。
障害者の分際で、壊れモノのくせに、何一つ自分で出来ないくせに、何様のつもりなのか・・・
現在、いくつかの書籍やネットのHPには、かつての衝撃を上回る事実が多く語られている。ボランティアの暗黙の了承による性欲処理、さらに父母によるソレは涙を禁じえない。身障者に理解ある風俗経営者たちの姿に気持ちが救われることもある。
だが、そこで語られていることに「異性との愛情」は無い。同情や子に対する愛情はあっても「異性との愛情」は無い。
本作は、そういった事柄をすべて突き抜けて「異性との愛情」「無償の愛」までいってしまった。この作品は身障者がどうこうという作品でないのは重々承知しているつもりだ。健常者の側に無意識の内にある優越感といったモノを微塵もみせずに描いた。これは見事だし、爽快感すら覚える。
こんな事を考えながら鑑賞する自分がいやらしくも思う。だけど上記のような心を掻きむしるような事実を聞きかじると、本作が描いた「極限の平等」=「愛」が何だかとても空しく思えてしまうのです・・・
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