[コメント] ∀ガンダム II 月光蝶(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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これまでに数多くのテレビ版『ガンダム』が作られてきたが、ガンダムの生みの親である富野由悠季監督が手がけたテレビシリーズでは一つ面白い傾向がある。
物語は二重構造を取り、宇宙と地上で物語は展開していくのだが、主人公が最初に宇宙にいるか地上にいるかで物語の方向性は逆転していく。宇宙にいる場合、間に必ず地上の話が入って、最後は宇宙で再び物語が締めくくられ、逆に最初に地上が舞台だった場合、主人公は一旦宇宙に出ていくが、又地上に帰って物語を締めくくる。必ずそれまで住んでいた場所が最後の決戦場になっていくわけだ。
これは勝手な想像だが、還るべき場所、本来いるべき場所。と言うことを監督が強く意識しているからではないかと思っている。
大体、成り行きでガンダムに乗ることになった少年が、流されるまま戦っていくうちに、自分が今までいた場所とは全く異なった所で否応なく戦わされ、その中で責任感を培っていく。そして本来いるべき場所を守るために戦うようになっていく。と言う課程を取るのではないか?
本作のテレビシリーズでもそれは継承されており、前半は地上で、後半は宇宙に出て、そしてクライマックスは再び地上での戦いがメインとなる。テレビシリーズにおいては前半に良く出ていた緊張感が程良くほぐれ、普通のロボット・アニメっぽくなっていたが、後半で派手さを増すためにはこれも仕方がないのだろう。
その分モビルスーツ同士の戦いは派手さを増し、メインのターンA対ターンX(Aは逆さにすれば確かにターンA「∀」で良いけど、Xは逆さにしてもやっぱり「X」なんだけど?)の戦いのみならずそれに付随する戦いや人間の駆け引きやターンAの秘密など、見応えはあった。
ただ、これは劇場の前半にも言えることだけど本作品の魅力はモビルスーツよりも人間の描き方の方にあったわけだし、それにテレビでは軽く触れるだけに留めてしまったターンAの秘密についても、もう少しつっこんで欲しかったと思う。
それでも前半ほどの文句は無し。ガンダムが格好良く描けていたし、特にラストの菅野よう子の不思議なヴォーカルに包まれた長目の、それぞれのキャラクター達の、その後の生活にちゃんと時間取ってくれた。最終回のあのシーンはとても好きだったから、それがフルで入っていただけで許せる。それにしても菅野よう子のあの歌はもの凄い。歌詞がよく分からないくせにやたら耳に付くし、不意に頭に響いてくる(単純にファンだと言うことも理由なんだが)。
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