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[コメント] モーヴァン(2002/英)

始めから終わりまで「孤独」であり「虚無」である。おそらくそれが描きたいことなのかも、だが・・・
レモン汁

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







劇中の冒頭で主人公のモーヴァンの同棲相手が自殺。

おそらくとても愛していたのだろう。

人は愛している人が目の前で死んでいたら、いったいどうするのか?

しかも、その彼が「自殺」でこの世からいなくなっていたら・・・?

「自殺」以外であれば、怒り発狂し、その怒りの矛先を他の何かに向けることが可能だろうが、

自分が側にいながらにして自殺されたものだから、モーヴァンも救われない。

筋書きとしては、死体を切り刻み山に埋め、彼の残した遺産と遺作で

遊びほうける、というだけに過ぎないが、

おそらくモーヴァンの「(彼が自殺する)以前・以後」の姿は、

モーヴァンの友達として出てくる「ラナ」が「以前のモーヴァン」で

劇中の「モーヴァン」が「以後のモーヴァン」の生き様なのではないだろうか?

つまり、彼が生きていた頃には堕落した生活もある意味「刺激的」であり、それなりに楽しいと思えていたのが、

彼の死後は「孤独」と「虚無」に打ちのめされ、

大きな「何か」を捜し求め、

今まで考え得なかったような行動に出る。

その「大きな何か」とは、生きている人間誰もが持っている「生きがい」とか「人生の目標」とか、「支え」

彼を自殺で失うことで、自分の無力さを目の当たりにし、

これからどうやっていけば良いのか途方に暮れるモーヴァン。

その「孤独」や「虚無」を描く画力はとても魅力的だと感じた。

ただ、個人的な評価が低いのは、この作品は

・人間体人間が持ちうるドラマ性がとても乏しいこと

・モーヴァンの精神世界があまりに主観を占めている為、劇にのめりこめる可能性が低いこと(モーヴァンに協調できるひとがおそらく少ないであろう)

・劇の冒頭はかなり突飛な出来事のわりに、それ以降は至極淡々としていること (最後まで「期待」に応えてくれない)

勝手なことを申していますが、以上の点が、この映画で「もうちょっとな〜」と思ってしまったところです。

(評価:★3)

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