コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 容疑者(2002/米)

題材もデ・ニーロも悪くない。それらを活かし切れなかった脚本と監督の問題だ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 30年という長きにわたって第一線で活躍し、今もなお様々なジャンルに挑戦しているデ・ニーロの暫く振りの刑事物作品。しかし重い内容をそのまま重いまま作ってしまった為、どうにもはまりきれないまま。

 ここにはデ・ニーロ扮するヴィンセントを挟む二つの父親と息子の関係がここには描かれるのだが、駄目親父のようにならないように一生懸命生きてきたヴィンセントが、今度は息子の凶行に悩まされる。しかも息子がこんな風に育ったのはお前のせいだと、別れたヒステリックな妻に糾弾される…血の轍というのがどれだけ人間の生に影響を与えるのか…まあ、本人も仕事に熱心になるあまり家庭放っておいた責任ってのがあるんだが。

 確かにこれを現代というものを描いた社会問題として捉えようとするならそれも出来るんだけど、結局これってデ・ニーロが貧乏くじを引いて酷い目に遭ってるだけの作品じゃないか?事実ここには全く救いがないし、デ・ニーロは悩みまくった末、結局自分の手で息子をあやめざるを得ないところまで追いつめられてしまう。

 確かに暗い。だけどこれだけだったらまだ救いはあったはず。

 もし演出が際だっているならば、全くの逆に名作にも成り得たはずなのだ。だが、致命的なことに、とにかく演出が悪い。特に前半は冗長なだけで何となく時間が過ぎていくだけ。中盤になってサスペンス調が増してきたと思ったら、今度はデ・ニーロが悩んでるだけ。後半の親子対決も何これ?で終わってしまう。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。