また久々に昔の名優の紹介をします。今回は「レディ・イヴ」や「深夜の告白」で知られるミス・バーバラ・スタンウィックことバーバラ・スタンウィックを特集。　　　１９０７年７月１６日米・ブルックリン生まれ。５歳の時に母親が死に父親は５人の子供を残して蒸発し孤児として親類にたらい回しにされて育つ。学校教育も満足に受けずに社会に出て電話の交換手や事務員など様々な仕事を経験、１５歳の時にジークフェルド・フォーリーズのコーラス･ダンサーとなりショウ・ビジネスの世界に入る。２１歳の時に喜劇俳優のフランク･フェイと結婚同じ頃ワーナーの「ブロードウェイの夜」で映画デビュー、そして３０年に当時まだ無名だった巨匠のフランク･キャプラの「希望の星」で演じた画家の貧しいモデル役で注目され３０年代の前半は「夜の看護婦」や「風雲のチャイナ」等キャプラの作品に多く出演した。そして３７年に当時の彼女の代表作となった「ステラ･ダラス」で才能を開花させその後「大平原」や「レディ・イヴ」「群衆」と着実に主演をこなし３０年代から４０年代まで人気を絶頂にした。また４４年にビリー･ワイルダーの「深夜の告白」へ主演してからは悪女役でも有名になる、５０年代には人気も下降するがＢ級ウエスタンに出演するように汚れ役や悪女役をこなし困難な５０年代を生きた。また６０年代にはテレビで活躍し日本でも放送された海外ドラマ「バークレー牧場」の大牧場主のヴィクトリア･バークレー役で再び人気も復活し新たな時代を築き上げた。「ステラ・ダラス」や「深夜の告白」等で４回アカデミー主演女優賞にノミネートされるが受賞には至らなかった、しかし８１年に長年の栄誉を称えアカデミー特別賞を受賞した。そして俳優のジョン･バリモアがミスター･ジョン・バリモアと呼ばれたように彼女もミス・バーバラ・スタンウィックと呼ばれたのは有名な話。惜しくも９０年の１月２０日にカリフォニア州サンタモニカの病院で心不全の為に８２歳でこの世を去った。　　　　　　　　　バーバラは悪女役からタフな女性、コメディ、アクションとジャンルを問わず自在に演じられる天才女優、初期は心優しさと清らかさのある女性を演じていたが『ステラ・ダラス』や『大平原』と活発な女性も演じるようになり演技の幅の広さが伺える。特に４０年代に入るのその明るく活発で爽やかな女性や行動的な女性のイメージを逆手に取り『深夜の告白』で一転して冷酷な悪女役を演じ演技に意外な一面を残していてその後も悪女役を演じるようになったところはもはや他の俳優以上のすごさと演技力の高さがあって素晴らしい。５０年代はそれまで演じた役とはうってかわりＢ級西部劇でタフな女性や汚れ役を演じるようになり、大物女優としては珍しく出演作を選ばないたくましさがある。さらにこの当時でこの年代の女優がアクションもこなすというのは早々ないのだが彼女は西部劇でノースタントで馬に引きずられるアクションなどをこなした実際にもタフな女性である。５０年代に演じたタフな女性のキャラをいかし海外ドラマ｢バークレー牧場｣で再び人気が復活した事は彼女の実力から成せる技かもしれない。彼女は演技力もあってアクションもできる数少ない天才女優である、特に３０年代から活躍している女優の殆どがアクションが出来ない事を考えると彼女はまれな例である。彼女の魅力は色気もあるのにキュートでかわいいマスコット的な女性も演じられるところ。普通どの女優もセクシーさがあるとそちらの方のイメージが強くなってキュートな役柄を演じられないので映画のでの印象が違ってもいつも同じ魅力があるが彼女の場合はナチュラルビューティーなのでおしとやかな魅力もけばけばしい魅力もマスコット的なキュートな魅力も出せるので演技だけでなく魅力でも映画の印象の幅が広い。ジャンルではコメディーなら『レディ・イヴ』、悪女役なら『深夜の告白』、キュートな娘役なら『大平原』が捨てがたい。本当に彼女は天才女優だと思う。