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[コメント] ゴジラVSメカゴジラ(1993/日)

平成ゴジラのスタンスはズバリ「○○○○」。あ、ネタバレなんでこっちに書きますよ……
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ゴジラは「人類が越えられないハードル」である。これが、平成ゴジラのスタンス。

 つまり、自然の持つ生命力の前では、いかに人類が手を下そうとどうにもならない、ということらしい。これと同じ様なことを「ミレニアム」「×メカゴジラ」でもしているが、よくよく考えてみたらこの3本、脚本家は同じ三村渉だったのだ。つまりこのハードルを作ったのは三村氏自身だったというわけ。

 このスタンスはゴジラの圧倒的強さを産み出した反面、例え話がどうなろうと最後はゴジラが勝つか、あるいは痛み分けという結末に持っていかざるを得ない。その辺を解決すべく、ゴジラに様々な特殊能力を持たせるという方法に出た。本作ではラドンによってゴジラが復活し、「ミレニアム」ではゴジラにしか制御出来ないオルガナイザーG1という遺伝子を登場させた。「×メカゴジラ」はそうでもないが、元・ゴジラの同属=機龍にその辺を担わせていた。  そしてもう一つ、この3作では「命の尊さ」というテーマが持ち出されている。自然生命の代表=ゴジラと、それに反する者=メカゴジラ、ミレニアンとの戦いである。この図式も悪くは無く、相手にやらてまくって痛々しいゴジラに思わず同情してしまうが、しかし同情してしまっては「超えられないハードル」ではなくなってしまう。そして、ゴジラが勝つか生き残るかしてしまった時点で、人類がゴジラを超えようとした努力も何もかも全て消えうせてしまい、ゴジラを倒すのは無理だ、もはやどうしようもない、という虚無感だけが残り、同情どころではなくなってしまう。個人的には、そんなハードルとか命の尊さとか、そんな要素を持ち込まず怪獣バトルに徹した「メガギラス」の方が、出来が良く感じるのだ。

 結局このハードルは、ゴジラ映画に何か釈然としないものを残したに留まった。それで終わらせれば良かったにもかかわらず、アメリカ版ゴジラの内容を受けて作った「ミレニアム」でまた持ち出してしまったのはまずかった。既に平成ガメラ3部作等の影響で、そんなハードルなどもはや通用しないというのに……

 中学3年生の時に劇場に3回も足を運ぶほど気に入ってたが、ここシネスケでは予想以上に評価が低く、その辺の想いも考えて、泣きの★3。

(評価:★3)

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