[コメント] 大忍術映画 ワタリ(1966/日)
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某コメテさんが「子供の頃にTVで観てから忘れられない映画」と述べていたのを聴いて、気になって鑑賞してみた。原作も読んだことはあるので、さてどんな感じに仕上がってるのかと思ったが……。
特撮時代劇というのは名ばかりではなく、ワタリのおぼろの術、トリコのカカ包みの術といい、合成やアニメーションをふんだんに使っているあたりは良い。ミニチュア撮影も駆使して、ステージの手前に人間、奥に模型を据えてワンカットで取るという、東宝特撮陣もやっていた技を見せまくっている。セットも非常に大きく作られているので、スケール感は十分。とはいえ、ワタリがカズラを助けに行く場面では、まるで線が付いたかのように思いっ切りマンガチックな描写になるのは笑った。少々コミカルすぎたのも、原作の白土氏の怒りを買った一因なのだろうか。
しかし、原作と一番違うのは、やはり「ワタリ」の背景にあった“権力に翻弄されるものたちの悲しみ”という要素が、全く無いわけではなかったがあっさりし過ぎていた点だろう。一応、犯してはならない掟の件や、ワタリがツブキに「下忍を無くせばいい」と提案するシーン、ツユキと小次郎の悲恋等、原作の要素をちゃんと詰め込んではいるが、全体がテンポ良くライトな雰囲気であることもあってか、イマイチ重くない。もっとも、90分に満たないこの尺で、そこまで描けという方が酷か。ちなみに、白土三平作品を実写化したのは後にも先にもこれだけらしい。よほど、この映画が気に食わなかったのであろう。
それにしても、あれだけの大ナタを持って金子吉延がどうアクションをするのかと思っていたが、その辺は上手いこと編集してあったので一安心。作者には悪いが、原作を読まないで観た方が案外楽しめる?
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