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[コメント] 北京ヴァイオリン(2002/中国=韓国)

少年が北京まで行きバイオリンをやる情熱があったら、数々の小さな出来事は腑に落ちない。別に父親が敷いたレールに乗ってやってたわけじゃないでしょう? 物語を転がす為だけに事件を作るって、なんてツマンナイ脚本なんだろう。 →そして7つもツッコミどころ発見。
Linus

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ツマンナイ脚本と書いたからには、何が問題かもう少し突っ込んでみようと 考え直し、レビューを追記します。

まずこの脚本は、ラストありきなわけです。 駅で拾った赤ん坊が、10数年後駅でバイオリンを演奏し、それを苦労して育てた父親が 見守ってという絵づらは、泣けるでしょう? ってことです。 (私はチェン・カイコーどうしたんだろう? って呆然としたけど……) ここからストーリーを組み立てることに、とやかく言うことはないんですが、 ラストにもってく少年の過程がバラバラで、一人の少年の人格にはなっていない んじゃないかな?

ハリウッド映画もそうなんですが、私があの手の作品に滅多にシンクロしないのは、 あまりに多くの脚本家が噛むことによって、性格がロボットみたいというか、 情感が伝わらない。もちろんアイデアというのは、一人の人間が出すよりも、 複数の人間が生み出す方が多いに決まってる。だからミステリー映画などは、 ハリウッドに勝るものはないんだけど、情感となると、てんでダメだなぁ〜と 思っちゃう。

さて、北京ヴァイオリンのダメだしをしちゃうと、

(1)少年は誰のためにバイオリンを10年続けたのか? 続けるというのは、個人の意志と主体性で、『リトル・ダンサー』などの 成長物語には、この2つが必須だった。

(2)父親思いとみせかけて、バイオリンを女性の毛皮のために売ってしまう軽薄さ。 では父親に反発してるのかというと、そうでもないらしい。

(3)父親は捨て子に今までなんで苦労してまで、バイオリンを習わせるために 大金をつぎこんだか? まずこういう芸術的なことをさせる家庭は、 日本だったら、子どもに少なくとも1000万はかけてくれる。宝塚を受け、 破産した家庭もあるそうです。もの凄い金持ちではない限り、アッサリやめるなんて 言ったら、怒られるんじゃないかな?(ちなみに親とのしがらみを描いたのは 『ピアニスト』)

(4)趣味とプロは明らかに違う。たのしんでラクして1番になれた人なんて、 今まで会ったことがない。素質があると天才も違うし、この少年の場合、 天才というより、素質があるくらいにしか見えない。

(5)あの近所に住む女性は、仕事は何やってるの? 他人の家をひっかきまわして、 お父さんに「あなたはイイ人だぁ〜」と言わせるくらいの人物とは、 全然思えず。第一、どうやって少年のためにお金を作りだしたか謎? 金持ちのおじさんを騙くらかしていたの?

(6)ユイ先生が、少年が売ったバイオリンを買い戻して、何故すぐ少年に 渡してあげなかったか? それは、ラストで少年に駅でバイオリンをひかせる 監督&脚本家の作意があったから。

(7)そもそも音楽家の両親は、何故子供を捨てたのか? お金がなかったの?  不仲だったの? 病気だったの? 知らない人に委ねるより、自分の両親に 預かって貰うという選択はなかったの?

なんか、ドチテ坊や状態になってるな……。

たぶんユルイ脚本にしか思えないのは、〈葛藤〉がないからでしょう。 ここでぶつかるというトコで、完全に肩すかしを食ったって感じでしょーか。

(評価:★3)

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