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[コメント] ムルデカ17805(2001/日)

日本人も血を流した。

冒頭、単身オランダ軍の陣地に乗り込み降伏勧告をする山田純大の場面は、まるで時代劇(そう言えばこのひと、新・水戸黄門の格さんだ)。青年道場でのインドネシア青年との交流を描く場面は、まるで一昔前のスポ根もの。この辺でかなり不安になるけれど、全体的に観るとそれほど失望する映画でもない。可もなく不可もなく、「日本人の戦史にはこんなこともあったのだ」というほどのことを啓蒙する力くらいはあるだろうと思う。

難点を言えば、実際の独立戦争の過程は、イメージではなく具体的な描出の中で見せて欲しかった。独立戦争は如何なる大義名分、如何なる勢力を背景として旗揚げされたのか。そこで日本人将兵は如何なる具体的な活躍を見せたのか。彼らの実際の戦闘はどのような経過を辿ったのか。そのようなことを批評的に捉えながら虚構として構築して見せていく姿勢、歴史的な観点に欠けている。時代劇やスポ根のような旧来の独善的な日本イズムや、イメージだけで見せられる戦争に真からの共感は抱けない。観る者を揺り動かす力もない。(そこまで求めるような映画じゃない?)

インドネシア人の俳優達の顔が思いの他魅力的に映っていた。尋問するオランダ軍将校は、ちょっとバカみたいだ。

(評価:★2)

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