[コメント] タイタンの戦い(2010/米)
「神話」というジャンルの中でも、ギリシア神話は子どもの頃に興味を持てた数少ない分野の1つだった。その1つの理由は、個性的な神々がたくさん出てくるのが面白かったからだと思う。
しかし、本作は、残念ながらそのギリシア神話という題材が持つ魅力を充分に活かしきれていない。
主要登場人物として出てくる神々はあまり数が多くない上、それぞれの個性というのがはっきりしない。こういうストーリーなら別にギリシア神話を下敷きにしなくてもよかったのでは。
神々や化け物をスクリーン上にあたかも本当の生物であるかのように生み出す映像技術はすごいものの、逆に言うと、それ以上に観るべきところがない。そういうの最近は当たり前になってきてしまっているので、あんまり驚きがない。これが邦画ですと言われれば、それは感動するけど。
ストーリーはかなり淡泊である。もっとも、こういう映画は、むしろその方がストレートで良いこともあるので、そこが致命的であるとは思わないが、しかしそれにしても、もう少しひねってもよかったのではないかと思った。
役者の演技が悪いわけではないが、物語に奥行きがないから、感情移入できない。神々対人間、そしてその間に立つ者、という基本構造は良いと思うのだけど、なんだか恐ろしく狭い範囲で物語が展開し、「巨大な敵に立ち向かう」悲壮感も恐怖感も決意も何も伝わってこない。
ギリシア神話という題材をせっかく下敷きにしているのだから、ちょっとした「へえーそうなんだ」的トリビアでもあれば、この映画をきっかけにギリシア神話に再び興味を持って、映画の面白みを家に帰ってからまた味わえる、ということもあったかもしれないが、それもない。
同じように、神々と人間の世界の相克を描いたものとしては、(ギリシア神話のような本当の話?をモチーフにしているわけではないが)『ナイトウォッチ』や『デイウォッチ』の方が数段良い。
好きなジャンルの映画だけにちょっと残念。
2010年4月24日 TOHOシネマズ上大岡
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