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[コメント] アイ,ロボット(2004/米)

アシモフ作品をブレンドした上に、アクション映画としてのテイストを加えた感じ。「原作に忠実」好きな人には辛いかもしれないが、一個のSF映画としてはよい出来。
Walden

われはロボット』はもともと1950年(!)に書かれた短編集なのだが、どうやらそのどれかに忠実に作っているというわけでもなく、アシモフのロボットもの(そしてある意味ファウンデーションも若干)ブレンドして作っているという印象を受けた。

ウィル・スミス 演じるスプーナー刑事は、おそらく映画オリジナル(全部読んだわけではないので知らないけれど)。モデルとしては、彼のロボット嫌いや行動力溢れる活躍は、原作『鋼鉄都市』からの3部作登場のイライジャ・ベイリを彷彿とさせる。もっとも、スプーナー刑事がロボットを嫌いな理由はちゃんとした過去があるので、全然関係ないかもしれない。

原作では(後の歴史も考えると)超重要人物であるカルヴィン博士は、どちらかというとおまけ的な存在でしかない。また、ラニング博士は冒頭で「自殺」しており、それがストーリーの始まりとなる。

NS-5に関しては、実は公式プロモーション・サイト(?)が存在している。興味がある方は検索してみることをお勧めする。

原作のアシモフのロボット作品の黄金パターンは、「三原則」に反する事件が起きる→なぜなのか登場人物が一生懸命考える→実は○○な落とし穴が・・・という展開なのだが、この映画も基本的にはそのパターンを踏襲しているといえる。ただし、原作ではその「○○」の部分が色々と凝っていて面白いのだが、この映画ではわりと単純な謎解きになっている。原作での「三原則」に対する注意深い扱いが欠けているため、原作に対するリスペクトを重視する人には多少辛いかもしれない。

ストーリーについて紹介サイト以上に書かれていることを書くとネタバレになってしまうけれども、最後のオチも含めてこの映画全体を見る上では、『われはロボット』だけでなくて、『鋼鉄都市』からの3部作に加えて、ファウンデーション・シリーズ後期を読んでいると感慨深いかもしれない。もっともこの映画の脚本作成にあたってライターがそれらを読んだわけではなさそうだけれども。

そういう「アシモフ原作」という肩書きから離れて見ると、久々の「ロボットもの」SF映画として、十分に楽しめる内容だ。一般の人々が持っているだろうロボットに対する潜在的な疑念を体現するのがスプーナー刑事で、カルヴィン博士はその対極に位置する。

ロボットというものの描き方も、『スター・ウォーズ』シリーズや『ブレードランナー』のレプリカントとはまた違った趣の描き方でオリジナリティがあってよい。ロボットのアクション・シーンはなかなか素晴らしく、迫力がある。

願わくば、最後のオチにもう一ひねりほしかったけれども。

この映画についてどう思うか、フレンド・ダニールに聞いてみたいものだ。

(評価:★4)

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