とりあえずの収穫は、マイケル・ウィンターボトム作品はもう二度と観ないだろうということが分かったことだ。

人間の弱さや醜さを描こうという監督の意図は分かる。それを優しく包み込もうとするのも分かる（それも音楽に助けられて）。だけど不愉快なんだよな。

人物設定はステレオタイプ。深みが無く表面的で直接的な台詞回し。手持ち16mmカメラでの安易な移動。ストーリー的アイディアは病院の件以外は皆無。映像的アイディアはクリストファー・ドイルの真似事だけ。似た様な設定なら向田邦子の「阿修羅のごとく」の方が数万倍上の話だし、この程度の話だったら、テレビドラマ、それこそ岡田恵和や中園ミホや大石静の方が数倍良くできた話を作ってる。

イギリス人は性欲と暴力しか興味がないのか？イギリス人は離婚する奴ばっかりなのか？失業者ばっかりなのか？（ああ、あと麻薬に溺れてる奴もいるか）

ああ、不愉快だ。殊に出産シーンの見せ方のエゲツナイこと！バスルームでわざとらしくカメラが曇ったりするのも嫌！

こんだけ言っといて２点もあげるのはマイケル・ナイマンの音楽が圧巻だから。

ついでに文句を言わせてもらえれば、こういう映画をありがたがって観ていたらしき女性客が帰りのエレベータの中で「ちゃんと（イギリスの）下町英語を使ってたね」等と感心し合っていたのまで不愉快だった。それじゃ何か？『岸和田少年愚連隊』は「ちゃんと関西弁しゃべってたね」って感心するのか！女子高生物のエロビデオは「ちゃんとルーズソックスはいてたね」って感心するのか！・・・失礼、取り乱しました。