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[コメント] 愛のむきだし(2008/日)

パンチラと哲学。信仰と空洞。純愛と血飛沫。むきだし感満載。笑った。泣いた。充実の237分。いつかまた観たい。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







笑いあり、涙あり、愛あり、哲学あり、アクションあり、パンチラあり、ビアンあり、血飛沫あり、充実の237分。ほぼ4時間。長い。けど満足。軽快な話運びのせいか「打ちのめされた感」は無いけど、不満は一切無い。いや、大満足。

文学か詩のような作品だと思った。村上春樹的にも思えた。 盛り沢山すぎて、どこをどう切り取って書こうか悩ましい。

概して「男は“静”、女は“動”」として描かれているような気がする。 主人公が軽快に闘う場面は、女装した「サソリ」の時だ。 いやまあ、盗撮の際は軽快に動くんだが、その主人公は勃起不全なのである。つまり男としての機能を持ち合わせていないのだ。 一方、板尾創路は勃起したイチモツを実の娘にはさみでチョン切られる。女性の手で男性“性”が抹殺される象徴的な場面で、この映画は男の本能を“原罪”として位置付ける。 そしてそれが後々、若い男女が救い救われつかみ取る“愛”に連鎖している。 言い換えれば、“罪”を受け入れることで“愛”に至るのである。

また、新興宗教ウンヌン言いたくなるが、たぶんそれは本質ではない。 この映画では、新興宗教もカトリックもパンチラ信仰も同質なのだ。 「神父は結婚出来ない」理不尽さと、「全ての答えは女性の股間にある」という馬鹿馬鹿しさと、新興宗教の洗脳は、まったくもって同質であり、そこに真の“愛”は存在しない。 それらは全て、“原罪”を意識する道具立てなのだ。

そしてこれは、「喪失の物語」ではないだろうかと思う。 正確には、「喪失の果てに一握りの愛をつかみ取る物語」。

映画は主人公が母を失うところから始まる。 そこに吸いよせられる登場人物達は、皆一様に親から正しく愛されなかったアダルトチルドレン達。ここに彼らの心の喪失がある。 いびつな形の家族が形成されるが、それもやがて主人公の元から去ってしまう。 彼は全てを失って、一握りの愛を、一握りの愛だけを、死に物狂いでやっとつかみ取るのだ。

実に映画的だと思ったのはラストシーン(237分付き合ってラストシーンかよ)。 窓をぶち破って手を握るのだ。扉を開けて、ではない。ぶち破ることに、「つかみ取る感」と「むきだし感」がある。ほんと、むきだしだ。

(09.08.21 新宿K's cinema(アンコール上映)にて鑑賞)

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)yasuyon ふかひれ moot chokobo[*] dappene[*] 林田乃丞[*] TM(H19.1加入)[*]

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