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[コメント] パーク アンド ラブホテル(2007/日)

「捨てる」物語。意外な拾い物だった。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何かの映画を観た時にこの映画の予告編が流れた。その予告編でバーンと出された文字。

音楽 日比谷カタン

それで一体誰が「オッ!」と思うのさ。俺だ。 友人のおかげで知ることになったミュージシャン、日比谷カタン。小さなライブハウスで一度聞いたことがある。オカシナMC、超絶ギターテク、七色の歌声、オカシナ歌。

ハッキリ言って、「音楽 日比谷カタン」ただそれだけで観に行った。映画はまったく期待していなかった。やっぱりいいなシネスケは。好きなことが書けて。 ところが、音楽は控えめで期待外れだったのですが、映画は予想外に面白かったのです。よ。

大変読み解きがいのある映画で、様々な読み取り方があると思うのですが、私は「捨てる物語」という線で攻めてみようと思います。

ちはる演じる主婦の2つめのエピソードが典型的な例で、ノートを「捨てる」ことで呪縛から解かれます。

(命を捨てようとしたかどうかは定かではないが)孤独な少女は白い髪を捨てることで呪縛を解く(白い髪は自分の孤独に対する抵抗であり自らの意思で染めたにもかかわらず呪縛である)。

アタッシュケースの女(by予告編)は、若い頃の診断書を「捨てる」のをやめ「受け入れる」道を選ぶ。

そして、りりィ演じるラブホの女主人は「捨てられた」ゴミを片付けるのです。 毎日毎朝、道路に、部屋に、屋上に捨てられた物を。 そして彼女は繰り返します「人間なら帰りましょう。」

これは人の物語なのです。 捨てたり受け入れたりして人は変わっていく。 主人公は陰に日向にその媒介を努めているのです。

劇中「エントロピーの増大」という言葉が用いられますが、 要するに「状態Aから状態Bへと移る過程」がこの映画の根幹の物語なのでしょう。

捨てずに受け入れた女が、主人公りりィの変化の媒介となるのも興味深い。

(評価:★4)

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