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[コメント] 襲い狂う呪い(1965/英)

これが北米公開時に『バンパイアの惑星』とダブルフィーチャーとか、SFホラーの童年時代をリアルタイムで知ることができなかった者にとっては妙にノスタルジックな気分を掻き立てる。今だったら『DAGON』の前座としてラヴクラフト・ナイトかな。そして寝酒に香山滋でも一杯ひっかけて秘境探検やるには遅く生まれ過ぎ、宇宙へ旅立つには早く生まれ過ぎた我が身の不憫を慰めつつ夢路を辿る
袋のうさぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ボディーホラーの黎明を感じたり、トワイライト・ゾーンの余燼を見たり、コーマン帝国の光芒に眩耀されたり。

地下の伏魔殿の美術とか、深夜の温室から放射される妖しげな緑の光とか、秘密の扉の向こうで異常繁殖する人食植物群とか、実験室に閉じ込められているパウル・クレー的な生命体とか、<オズの国>からそのまま抜け出てきたようなレトロ感もあって個人的にかなり好み。

ホラー映画のなかの英国の田舎町といえば自分的には『悪魔の墓場』の満目蕭条たる枝垂れ柳のある冬景色(秋だったか?)が筆頭に来るが、ここでも、独特の寂れ加減が冒頭の到着シーンで気持ちを引き締める。銀幕の登場率が高い荒地<ムーア>とはまた違った寂寥感。ほかの国ではなかなか見れない雰囲気だなあ。

奇病の正体が明かされるまでの展開は王道とはいえ宙ぶらりんの緊張がなかなか弛緩するとことがない。ただ、やはり活劇に興味がない人が撮ったらこうなるといったラストの果たし合いのぐだぐだ感は如何ともし難かった。連動性を欠いたカットバックがずるずると決着の瞬間を引き延ばす。そんなものより、隕石の影響で人が人ではなくなり理性を失ってゆく過程をもう少し丹念に描いてくれたらと無い物ねだりしたくなるも、見当違いの欲求は、まあ、野暮というものか。

7/10

(評価:★4)

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