[コメント] アレクセイと泉(2002/日)
「働くことが食べること」という市井の人々を撮ってきた監督と同じ言葉が、冒頭にアレクセイから発せられる。ストーブの前で本を読む青年のこの一言にまず衝撃。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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森・畑・小さなストーブ・ニワトリ・犬・使い込まれた室内、そしてこんこんと湧き出る泉。この何でもない暮らしの様子を、清々しく時に切なく捉えるカメラが素晴らしい。
大きな事件も争いも起こらず、人と動物が、厳しい冬の寒さの中でさえ身を寄せ合って淡々と毎日を生きている。平均年齢71歳の55人と34歳のアレクセイ。彼の足には小児まひの後遺症があるが、放射能で汚染され無きものにされた村で両親を助けたいという気持ちで日々を過ごしている。水を汲み、木を伐り、麦を刈り、動物を愛する。多くを求めず馬とさえ優しさを分かち合い親世代の小さな楽しみにつきあい、昔話にせつなささえ感じている。
自給自足の原始的ともいうような暮らしの中で、この穏やかさは培われるのだろうか。
森や畑には高濃度の放射線が残っているが、泉からは検出されないという。村人が敬う泉に宿っているとされる神は、幼さの残る少し赤ら顔のアレクセイなのかもしれない。
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