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[コメント] 遥かなる甲子園(1990/日)

聾学校の野球部を描いて良質のベタ映画。『さらば箱舟』の解説付。小川真由美のお母さんがとてもいい。田中美佐子は当然いい。そしてタイトルがいい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







子供の病名は風疹障害児と呼ばれている。ベトナム北爆のころ沖縄で流行したと云われているらしい。「早く言葉を教えなさい。そうしないと一生喋れなくなる」と医師に云われて小川は風船を震わせて発声を伝える練習、部屋の物に名前を書いた貼り紙を貼りまくる『さらば箱舟』のような描写がある。成長してイヤホンしている少年。

ぶつかって怪我した息子を小川が怒る。人に説明できるようにしろ。キャッチボールしていた友達が、少年野球チームの時間になり、ごめんねと云ってそちらへ行ってしまう。彼はチームに入れてもらえないのだ。そうして壁にボールをぶつけ続ける。これには感じ入ってしまう。こんな体験をした少年が野球をしたいと思い続けるのは偉いと思った。

北城ろう学校。野球部をつくり、加盟申請に苦労したが認められる。この試験で普通高校のチームと対戦し、ボロ負けするのだが試合終了直後に加盟を認められてみんな大喜びしている。負けたのに喜んでいる光景が面白かった。

そして連戦連敗。萩原聖人が父親に将来心配で退部強制の件など、映画としてはベタでも実際ある話なんだろうと切なくなる。部員のやる気を蘇らせるべく、強豪校と合同練習して、競争心と負けん気を蘇らせる件が、体育会系の本能を描いて興味深いものがあった。最後の予選でも一回戦敗退。別に障害児でなくてもこんな高校人生は多かろう。タイトルがとても眩しい。文部省選定作品で推薦団体多し。

(評価:★4)

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