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[コメント] JUNK FOOD/ジャンク フード(1998/日)

20世紀に外国人労働者を描き続けていたという一点だけでも山本政志は後世に残るだろう。これは20世紀末の『どっこい生きてる』だ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作も早朝から始まる。目の悪いお婆さん山本静子が起きて仏壇を拝み、朝飯の食パン買いにコンビニまで行く。これがラストでも反復される(今度は牛乳)。それから娘の愚行録が記録される。このお婆さんの若い頃なのだろう。廃墟で男を銃殺してクスリ。ホテルでクスリ求めて男に殴られる。

さて、これはそれぞれいつの時代を描くのだろう。私は殴られているのが20世紀末の現在、他の連中も20世紀末、お婆さんはそれから半世紀後、ということなんだろうと感じた。殴られてからが人生しぶといノダと映画は突っぱっているようなニュアンスがある。

パキスタンの男が金持って日本人の女に求婚し、笑われて殺し、仲介屋も殺す。チンピラたちはボスの青年を待ち伏せして集団で殴り、紙袋被せて自分のマンションの前に転がして去る。その他アメリカ人娼婦など遣る瀬ない連中が偶然に集まり、明け方の海で、死体になって山手線で一日中回っていた奴の遺骨を散骨して解散する。

彼等は感情の寄せ場がないような連中で、特別に悪人でもないが決して善人でもない。アウトローを聖人として描くのも、あえてピエロとして描くのも、どちらも出尽くした後に残った評価無用の実存が並んでいるというニュアンスがある。

女子プロレスの外国人女性はラーメン喰って帰国する。ろくでもない人生羅列のなかを縫うように。最後に町田康がどうにかなると唄う。

(評価:★4)

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