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[コメント] 青春の蹉跌(1974/日)

突然の芹明香の瞬発力が素晴らしい。本邦70年代のラリったフーテンを記録して永遠の価値があるだろう。道端で初対面の者の足に抱きついて「なあ、お金ちょうだい。100円でええからあ。くれる云うたやんかあ」1点加点。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それからいいなと思ったのは冒頭、萩原健一河原崎健三がアメフトのトレーニング方法らしく、肩と肩をぶつけ合う仕草を自宅でも続ける件。骨と骨をぶつけ続ける友情の表現に生々しい処があり実に映画的。この演出は本作の優れた部分、例えばショーケンと桃井かおりが抱き合いながら雪山を滑り落ちるクライマックスにも応用されている。

そして凄かったのは学生運動出身の河原崎が道ぶらぶら歩いていたら、ヘルメットかぶった極左にいきなり襲われる件。この唐突さは実に禍々しく、正に立花隆「中核対革マル」の世界。河原崎は別に内ゲバ肯定者ではなく、所属した組織の転落のために一方的に被害を受けた、という位置づけなんだろう。

私が面白かったのはこの3点。他は通俗なものだ。女を捨てるブルジョア男という題材に新味はない。桃井について刑事(下元辰平)が、妊娠していたのはショーケンの子供じゃなかった、などと最後に科白で混ぜ返すのはいかにも拙い(しかもフォローなし)。ジャーナリスト森本レオの転落もありきたりで閃きがなかった。それでも時代の極端さ故、興味深いのではあるけれど。

(評価:★4)

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